真っすぐ 1
私が先生(教会の牧師さん)と初めてお会いした時には、先生はすでにとても重い、そして難しい病気と戦っておられました。
先生は、その病気の事を淡々とお話になられました。そして"死"を真っすぐに受け入れ、全てを神様にお委ねしておられました。
私はその病名を聞いた時、その病気がどんな病気なのか、全く知識が無かったのですが、とにかく"物凄く恐ろしい病気"であることには間違いが無い、それだけは分かりました。
先日、先生はお亡くなりになりました。
先生が亡くなられたと会社から電話が入った時、私は耳を疑いました。信じたくなかった...。
私は、涙を流す間も無いまま、病院に向かいました。車を運転しながら"絶対嘘だ!先生が死ぬはずは無い!"何度も思いました。
病院に着き、恐る恐る病棟に続く廊下を歩きました。
(私は、以前もこの廊下を一人で歩いたことがありました。それは、同じ教会の方が亡くなった時でした。だから、この廊下の先にある光景を一瞬のうちに思い
出し、扉を開けることがとても怖く、扉が鉄で出来ているのではないかと思うほど重たく感じたのでした。辺りは真っ暗で、しんと静まり返った病院内の長い廊
下...)
私は扉の前まで進み、そして大きく深呼吸をし、扉を開けました。
そこには、御家族方と私共のスタッフがおり、葬儀の打ち合せをしていました。
私はその時にやっと"本当に先生は亡くなってしまったんだ..."そう受け入れる...というか、現実をみた...というか...。
"どうしよう..."そんな気持ちで近寄ると、『主人の為に祈り続けて下さり、本当に有難うございました。』と奥様がおっしゃって下さいました。
私は"ハッ"と我に返り席に着きました。